消毒ってなんだ(薬剤散布に関して思うこと)
「業務として消毒はされていますか?」
とお電話で問い合わせがあります。
「定期的に殺虫剤を散布することでしょうか?」
と確認をさせていただきます。
宮崎県では「お庭の木に定期的に殺虫剤を散布する」ケースが多いようです。
これを「消毒」と呼ばれているようです。
虫は、必ずしも毒ではありませんよね。
よくあるケースなのですが「年に3~4回。虫が発生していなかろうが、お構いなしに無差別に全滅させる」ことが、
果たして私たちのやるべきことなのでしょうか。
公園や公共の空間では仕方がない場合も見受けられますが・・・
以下にお庭の事例を交えて私の意見を。
ミドリカミキリです。
ツバキの上で後食中でした。
美しいですね。
タマムシのような素敵な色と、スタイリッショなシルエットをお持ちです。
こいつが庭木の重要な害虫であるという話は聞いたことがありません。
他県では希少野生生物としてレッドデータブックに載っているようです。
むやみに虫を全滅させることに疑問を感じすにはいられません。
撮影場所は、二年ほど前から私が管理いたしておりますお庭です。
「庭の木が弱っている」と、ご相談をいただいたのがきっかけです。
以前の管理では
ダメージの大きい剪定方法によって、樹勢が衰退していました。
また、強力な殺虫剤の定期散布も行われていました。
散布後に大きなヘビが死んでいたことがあるとおっしゃっていたのは衝撃でした。
ご相談を請けてまず
木々が弱っていたので、個別の樹勢回復処置を行いました。、 さらに、基本的な剪定などのお手入れの仕方を変えました(強い刈り込み→透かし剪定へ)。
また(私の趣味で)殺虫剤の使用を控えました。
すると樹木が元気になると同時に 希少な虫やトカゲなどの爬虫類が増えてきました。
庭園の生態系が豊かになりつつあるのかもしれません。
「お庭全体がイキイキとして、色彩豊かになった」とお施主様が喜ばれています。
私もお施主様と一緒に私も喜んでいます。
こちらのお宅は近くに社叢林があるので、鳥も来るし、多様な虫たちが来やすい状況です。 なので生態系がすぐに回復するし、バランスがとれやすいのかもしれません。
アブラムシが増えると、
テントウムシが増えます。
次に増えるのはテントウムシを食べる生き物です。
お庭には庭の生態系ができます。
人の勝手で、そのサイクルを狂わせて良いものでしょうか。
庭木が健康なら、葉っぱが少々食べられても樹勢には大きな影響はなく、 美観が損なわれる程度です。
特に庭に用いられる樹種は丈夫なものが用いられていますから(人が扱いやすいように)
あまり神経質にならなくてもいい場合がほとんどです。
もちろん、
殺虫剤を使わないので、不快害虫の発生に関して常に気を使います。
その都度、工夫しています。
庭木に病虫害が蔓延する主な原因というのは、
病気や虫が来ることが悪いと考えがちですが、
「樹木の抵抗力が低下した」ことが大きな原因となることが多いです。
植栽された環境や日々のお手入れが、木の健やかさに影響を与えます。
樹木には本来、虫や病気に対する防御機構があります。
その防御機構をうまく発揮させて、庭全体が健やかに循環するのが私の理想です。